
浸っていたいのだけれど、どんどん記憶は薄れてしまうの。
残酷ね。忘れるなんて。
大好きだった匂いも、感触も、温度も。
何もかも、薄れて行くものなのね。
まだあたしの手の中にあるいろんな色々。
だけどこれもいつかは消えてしまうだなんで。
もののあわれ。
ずっと昔の事も思い出そうとしてみたりするわけ。
その中で、触りたくない引出しには自ら鍵をかけているのね。
あれは、開けなくていいの。ええ、いいのよ。
忘れた。忘れた。
記憶を留めておくための悪あがきも役には立たない。
忘れて、流れて、去って行くもの。
タイミングが合わないって、そういうこと。
重ならない様になっているのね。
鹿とあたし。
鹿に乗ってるのは小人さん。
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